和解契約の締結
和解(わかい)契約とは、当事者間に存在する法律関係の争いについて、当事者が互いに譲歩した上で争いを終了させる契約です。
過払金返還請求権の争点との関連では、消費者金融及びカード会社等への返済が滞った際に、利息の減額、または免除等を受け、かつ、その際、貸金業者と文書を交わしている場合には和解契約を締結したことになります。
(1)和解契約と貸銀業者の主張について
通常、和解契約書の中に「相互に債権債務はない」という文言が入っています。
また、特定調停を行なった方で、平成18年以前に行なっている場合には引直計算をせずに和解をしているものがあります。上記のような和解契約をしている場合、引き直し計算をしていなくても、貸金業者は「和解している以上過払金を放棄している」と主張してくることがあります。
なお、引直計算をした上での和解であれば、これを無効とする意味はありません。ここで問題になるのは引直計算をせず、過払金が発生しているにもかかわらず約定の残金を前提として和解をしている場合です。例えば、実際は引直計算をすると過払金100万円が発生しているのに、約定残が20万円あるので、この残高20万円を一月5000円、40回払いで和解する、というような事例です。
ここでいう「和解契約」とは文書で正式に和解をしているケースであり、文書が無く事実上利息を下げているだけというのであれば、通常は問題になりません。
この和解契約については、アコム、アイフルといった会社が主張してくることが多くあります。
(2)和解契約の無効について
和解した場合には通常、過払金は請求できなくなりそうです。当然、貸金業者もそのように主張してきます。
しかし、通常業者と取引をしているだけの人については、過払金が発生している事実はわかりません。過払金があることを知らず、業者の言うなりに和解したのに、過払金を請求しようとしたらできないというのは非常に不当です。
和解を無効とした裁判例は多数ありますが、以下の事情で判断が左右されるようです。
- @和解契約書の文言
- 和解した際の契約書の中に「過払金返還請求権を含め」等、「過払金」の文字が入っているかどうか。もし、「過払金」の文字が無ければ、過払金については和解の対象となっていないとして返還請求が可能な余地があります。
- A取引履歴の開示
- 貸金業者が取引履歴を開示した上での和解をしているかどうか。
履歴開示が無い場合には、そもそも過払金の発生を認識していないということで、和解が無効となる事例が多いです。
(3)実際の争い方について
この和解契約の有効性についての争点は、もし和解が有効となると過払金がゼロになりますし、和解無効であれば過払金全額の請求が認められます。判決ではかならずゼロか満額という点から、どちらに判断していいか迷う裁判官も多く、和解を薦められます。
貸金業者も、ほとんどの事例で和解提案をしてきます。
当事務所においては、(2)で記載した事情、請求額、依頼者の希望を考慮し、おおむね和解での解決が可能となっています。金額としては事情によりますが、中間的な金額、すなわち過払金額の半額〜8割くらいで和解するパターンが多くなっています。
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