取引の中断・分断
1 取引の中段・分断とは
消費者金融、クレジットカードのキャッシング取引において、一回完済した後に期間を一定期間おいて再度借入をするケースはよくあるかと思われます。例えば、平成20年に借入をはじめ、平成15年に完済、平成16年から再度借入をして平成25年に完済したようなケースです。
この、一旦完済後、再度借入をしたというケースで過払金請求をすると、貸金業者の方から「取引が中断しており、別契約である」との主張をされることがあります。
このことによるマイナスとして@別取引で計算されると過払金が減額する、A一度完済した取引が時効とみなされる可能性がある。という点にあります。
特に、Aの場合については大きく過払金が減少することになります。
2 法律上の判断目安
もっとも、一度完済して再度借入をした場合、必ず中断とされて別取引とみなされるわけではありません。一連で計算される場合もあります。具体的には、最高裁判所の判例で目安が示されております。下記は最高裁の文言そのままです。
「第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間,第1の基本契約についての契約書の返還の有無,借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無,第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情」
これをひとつひとつ見ていくと
- @中断前の借入の長さと再度の借入の際までの中断期間
- 借入が長く、中断期間が短いと一連と認められやすくなります。
最も重要と考えられる要素。おおむね1年半以上期間が開くと分断とされやすい。
- A第1の契約終了時に契約書が債務者に返却されているか、第1の契約終了時にカード失効手続が取られているかどうか
- これも重要です。完済時にカードを業者に返却し、再度の借入時に契約書を記載している場合には分断と認められやすくなります。一方、ATMで全額返済したもののその後カードを持っていてまたATMで借入をしているケースは、一連と認められやすくなります。
- B貸金業者との接触状況
- 貸金業者からのダイレクトメール、電話勧誘などといった接触状況が立証できれば一連計算が認められやすくなります。
- C再度借入をした理由はどういうものか
- 完済後、再度の借入が予想されているような状況であれば、一連性が認められやすくなります。
- D中断前と中断後の契約条件の違い
- Aと関連します。再度の借入に際して利率や限度額が変更になっていると、分断とされやすくなります。一方、再度契約書を記載しても利率や限度額がそのままの場合には、分断とはされにくくなります。
3 上記の判断目安は、あくまで「総合判断」です。
これらの要件があてはまるからと言って絶対に分断になるとか、ならないというわけではありません。特に、クレジットカード取引においては完済したからといってカードを返却しないことがほとんどなので、中断期間が長くても一連となりやすくなります。
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