履歴不開示・ゼロスタート

1 履歴の開示義務と不開示

貸金業者は、貸金業法19条、19条の2に基づき、顧客から請求があった場合には全て履歴を開示する義務を負っています。請求を受けたにも関わらず開示しない場合には行政処分を受けることになりますので、貸金業者は原則として保存している履歴の全てを開示してきます。

もっとも、貸金業者は古い履歴になると「保管していない」との理由で履歴を開示してこないことがあります。

具体的には、三菱UFJニコス、クレディセゾン、新生フィナンシャル(レイク)、オリエントコーポレーション、エポスカードといった会社は平成2年〜6年ころから開始する履歴になっています。昭和60年以前の取引ですとアイフル、アコムといった消費者金融についても、一部履歴の無い不完全なものが開示されるケースがあります。

2 履歴不開示の場合の対応

履歴が無いからといって、その期間の過払金が請求できないわけではありません。
以下の手法に基づき、履歴不開示部分も過払金返還請求を行います。

(1)銀行通帳、明細からの取引再現
もし、当時の取引明細を少しでも持っている場合には、その明細をもとに取引を再現することが可能です。1枚の明細であっても、その時点の約定残高、返済額、次回返済日がわかれば十分な手がかりとなります。
銀行での引き落とし履歴も同様です。業者からの引き落とし額が記載された銀行通帳があれば、当然履歴として利用できます。通帳が無い場合、銀行によりますが、昭和60年ころからであっても通帳履歴を開示してもらえる場合もあり、入手すれば証拠として利用できます。
(2)いわゆる「ゼロスタート」の主張
(1)で示したような資料が一切無くとも、履歴開始時の取引残高をゼロとして請求するゼロスタートという手法があります。
例えば、平成6年12月以前の履歴が無い場合、履歴の冒頭に約定残高が記載されています。しかし、取引利率が法定利率を上回っており、一定期間以上の取引があると、過払金は当然発生しています。そのため、冒頭約定残高はすでに過払状態になっており、これを「ゼロ円である」と主張して訴訟提起を行うのです。
履歴の冒頭の約定残高がゼロとなるので、当然に計算上の過払金の額は多くなります。

3 受け入れてもらえない事例

上記のような主張をしても、裁判所は立証責任が原告、すなわち過払金返還請求をする人にあるとして、受け入れてもらえない事例もあります。

そもそも、履歴が無くて過払金返還請求ができないということであれば、履歴を保存しておいた誠実な業者が不利になり、廃棄するような不誠実な業者が有利というのは全く許せないことです。

当事務所においては、推定計算、ゼロスタートで積極的に裁判を行い、貸金業者から1円でも多く回収を目指します。

ページのTOPへ

問い合わせ

全額回収

船橋事務所

  • 弁護士法人やがしら
    船橋リバティ法律事務所
  • 〒273‐0011
  • 千葉県船橋市湊町2-1-2
  • Y.M.Aオフィスビル3F
  • 京成線 京成船橋駅より
    徒歩7分
  • JR総武線 船橋駅より
    徒歩9分

アクセス

柏事務所

  • 弁護士法人やがしら
    船橋リバティ法律事務所
  • 〒277-0842
  • 千葉県柏市末広町5-16
  • エスパス柏ビル5階
  • JR常磐線・東武野田線 柏駅
    徒歩3分

アクセス