遅延損害金と期限の利益の喪失の争点について

1 期限の利益喪失とは

期限の利益とは、債務者が債務をある一定の期日までは履行しなくてよいという利益のことを指します。通常消費者金融の場合には、「最低返済額入金から31日以内」というのが一定の期日になります。カード会社の場合には「○日締の翌月○日払い」というように決まっているのがほとんどです。

この支払期日に遅れると、遅延扱いとなり、約定の利息の他に遅延損害金も請求されます。

通常、消費者金融各社の契約では約定支払日に1日でも遅れると、期限の利益を喪失、すなわち残額を一括請求できる旨の約定が定められているのがほとんどです。一括請求できる状態になると、遅延損害金の上限利率である26.28%(100万円未満の取引の場合)が上限利率となります。

そのため、一旦遅延している場合には期限の利益が喪失し、遅延損害金利率で引き直し計算をするように業者が主張してくるケースがあります。

2 期限の利益喪失に対する反論

しかし、上記の主張に対しては、下記2点の主張を行うことで利息制限法上の引き直し計算を行うことが認められています。

1点目の主張は、過払金請求者は期限の利益を喪失したと認識できなかった以上、信義則上、期限の利益喪失を主張できないというものです。

具体的な事情として@消費者金融は、期限の利益喪失日以降、約定の遅延損害金利率で請求していないことA期限の利益喪失後に貸し付けが行われていることBATMで受け取る書面(明細)には、期限の利益喪失後も遅延損害金として受領している旨が記載されず元金と表示されていることC約定残高がある時点では期限の利益喪失を主張せず、過払金請求をしたら突如期限の利益喪失を主張することは不当、等といった点を主張します。

2点目は、期限の利益を再度付与したという主張です。遅延により一回は期限の利益喪失が仮に認められるとしても、その後の貸金業者の行動からすると、期限の利益を再度付与したという主張です。

具体的な事情として、@貸金業者が期限の利益喪失後も一括請求をせずに分割金受領を続けたA返済時に借り主がATMで受領した文書には「次回返済日は○日」と記載されており、まるで期限の利益を与えたかのような記載になっていること等を主張していくことになります。

3 現在の傾向

当事務所で取り扱っている案件においては、全て上記2点いずれかの主張が認められ、貸金業者の主張するような期限の利益喪失が認められたというケースはありません。しかし、貸金業者各社が提出してくる裁判例を見ると、特定の裁判所、裁判官によっては貸金業者の主張を認めるケースがあるようです。今後とも油断することなく、上記の主張を適切に行なって過払金満額回収を目指していきます。

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