過払い金の時効(請求期限)

過払い金の時効(請求期限)

時効の期間

過払い金の時効、つまり請求の期限は、10年と言われています。

どうして10年で請求できなくなるのでしょうか。

これは、過払い金の返還請求権は法的には不当利得返還請求権(民法703条)という請求権で、この不当利得返還請求権の時効(期限)が10年であると民法が定めているためです。(民法167条)

では、この10年のカウントは、いつから開始するのでしょうか。

かつては見解の対立があり、貸金業者は過払い金発生時から10年と主張していました。この見解を採用すれば、取引の途中であっても10年以上前に発生した過払い金は無条件で消滅します。一方、請求する弁護士、司法書士たちは、過払い金の存在が判明した時点から10年であると主張してきました。この見解に従えば、取引履歴の開示が無ければ過払い金の存在が判明することは無いので、過払い金が時効となることはほぼありません。

この争いは、過払い金額に大きな影響を与えるので、長く争われてきました。そして、平成21年1月22日に最高裁判所が、原則として「取引が終了した時点から進行する」という判決を出し、10年のカウント開始時点に対する見解をほぼ統一しました。弁護士側、貸金業者側の主張はいずれも極端であったため、間を取ったものと評価できるでしょう。

取引の終了時とは

では、取引の終了時点とは、具体的にはどの時点を指すのでしょうか。

一般的には約定残高の借入金を完済した時点からスタートすると理解されています。つまり、完済した日が平成20年1月31日なら、平成30年1月30日までしか請求できないということになりますので、これが請求期限です。もちろん、10年以内に請求しなければならないので、上記の例で平成30年1月30日に弁護士に依頼しても、請求できなければ10年が経過して時効、ということになります。

ただ、最高裁判所は完済という言葉は使っていません。取引の終了という言葉を使っています。日本語の意味からすると、必ずしも、完済=取引を終了というわけではないでしょう。よくある事例としては、完済後もカードを解約せずに持っている場合です。その場合、完済したから取引を終了するわけではなく、再度取引を開始することもあるでしょう。

クレジットカード会社については、キャッシングを完済してもカードをそのまま持っている場合がほとんどでしょう。アコム、プロミス、レイクといった消費者金融でも、完済時にカードを返さそのまま持っている場合があります。そういった場合は、再度取引を開始する可能性があることから、完済しても取引の終了とは言えない、という考え方もあり得ます。ただ、現時点の傾向としては、たとえカードの解約処理をしなくても、最終取引日から10年が経過した場合には時効となると考えている裁判官が多いと思われます。

なお、完済していなくても過払い金が発生している場合があります。その場合、取引の終了時というのは、貸付、借入を問わず最終の取引日になると考えられます。

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